クイックテンパー・ジェラテリア



存外、という言葉は正しくない。イメージ通りとでも言った方が適切だ。

少々手こずった任務より戻り、リゾットのデスクの前で話を聞いているのはソルベ。
仕事中に引っ掛けられてしまったらしい、気に入りのシャツの袖ボタンがない事も不機嫌の理由の一つのようだ。
報酬を伝えるとそれで堪忍袋の緒が切れたのか、ほぼ物置になっている小型のテーブルを蹴り飛ばした。
特に今回の任務はジェラートがペアでなかった事もあってだろうが、それを差し引いてもソルベは短気だった。
激しい音を立てて閉じられたドアを見ずにリゾットはすっかりと冷めてしまったエスプレッソを啜り、耳に響く足音にため息をつく。

「…シシリアン、だな…」

リゾットとソルベは同郷だった。
シシリーの男はストイックで短気だ、と何度か耳にした事がある。
割に気が長い方であるリゾットは「そういうものか」と他人事として聞いていただけだったが、なるほど、ソルベを見ているとそれもあながち間違いではないかと思えた。

「クソッ、やってらんねえ」

どかどかと踏み鳴らされる音と不機嫌を露にした声の二重奏に、リヴィングにいるメンバーが肩をすくめる。
ソルベの気性は理解しているが、今回ほどの嵐は久し振りだった。

「ヤニくれ」

乱暴に腰掛けられたソファの左半分に陣取っていたホルマジオが、お決まりの台詞と共に煙草を一本差し出す。
ブラッククラッケルのジッポーで火を点け深く吸い込むが、ソルベの怒りは収まらない。なにしろ、彼一級の緩和剤であるジェラートがいないのだ。
ホルマジオはそれをまったく気にしていないようだったが、ピリピリとした雰囲気が我慢出来ないらしい、イルーゾォが目で訴えてくる。
ちらりとギアッチョを見るが、「わかんね」とハンドサインで返された。

本日のジェラートはメローネとお買い物。
ソルベとペアでの任務でなかった事に腐っていたジェラートをメローネが半ば無理矢理に連れ出したのだ。

(あの二人、買い物なげーんだよなあ…)

今頃買い物袋をいくつも抱えているだろうか、確実にカフェには入るだろう。
ひょっとしたら、いい気分になってバールにでも根を生やしてしまうかもしれない。
それだけは避けたいと思いながら煙草をくわえたホルマジオだったが、事はもっと単純だという事に気付きポケットから携帯電話を取り出す。
そのまさに直後、着信音がリヴィングに響き渡った。

「うお…っと!?」

驚いたホルマジオが携帯電話を取り落としそうになる。
黙って吸い殻を生産し続けていたソルベのこめかみが僅かに引き攣ったが、怒鳴る暇もなく電話を耳に押し付けられた。

「…プロント?」

『あっソルベ?ソルベおかえり!もー!やっぱりもう帰ってたじゃんメローネ!』

「ジェラ…」

少し離れて、メローネの笑い声を含んだ軽い謝罪が聞こえた。

『だっから早く帰ろうっつったのにー!』
『部屋ん中でクサッててもしょうがねーだろ、いい事したんだぜ俺は』
『くさってねえよ!』
『ソルベの事心配してたかったか?いらないよな、ヘマするわけないもんな』
『そりゃあそうだろーけど、俺が文句つけたいのはそういう事じゃねえんだよ!』

息も付かせぬ二人の応酬の中で、仕事中だと悪いからソルベの電話には連絡が出来なかった事と、すぐに事務所に戻るという事をやっと聞き取ると、忙しく電話が切らる。
イルーゾォが横目でそっとソルベを見るが、煙草はとうの昔に灰皿へ押し付けられ、その足はコーヒーを求めキッチンへと向かっていた。

「げーんきーん…」
「ホント…しょーがねーなぁ」

後を追うようにキッチンへと滑り込んだホルマジオが棚からカップを取り出し、自分の分もと催促をする。
未だソルベの怒りが収まらぬ場合、そんな事は御法度の行動であったが、すっかり嵐は収まったらしい。素直にコーヒーを注いでくれた。
そんな中で、はたと思いついたようにソルベの左手が自分の携帯電話を取り出し、そのままそれをゴミ箱に捨てた。

「何で?!」
「壊れた」
「…ああ、なんだ、仕事でか?おいおい、何もそのまま捨てるこたねーだろーよ…」
「ジェラートにあんま急いでケガすんなってメールしといてくれ。ったく、終わったっつー連絡も出来やしねえ」

何の執着もなかったようにさっさとリヴィングへ戻るソルベを見ると、本当にまったく役に立たなくなったらしい、それでもメモリーカードくらいは生きていないだろうかとホルマジオがソルベの携帯電話を拾い上げた。

「あ、ダメだこりゃ」

液晶が割れるとか、それどころではない破損っぷりに苦笑を漏らす。
右側のカバーがこじ開けられた跡があり、見るとメモリーカードは既に抜き取られていた。

「…九割方、これのせいじゃねーのか…?」

ソルベの不機嫌の原因に盛大にため息をつくと、穏やかな空間を取り戻すそのために、ホルマジオはソルベの代わりにメールを送信してやったのだった。




めでたしめでたし。






そるじぇらがすきです^v^

両思いはいい…!らぶらぶが好きな理由は、「安心できる」からです。ゆるがないっていいですね。
見てて安心する、それがソルジェラクオリティー!

「個人じゃあなくて、仕事の時はソレ用の電話を持っているんじゃあないか」と気付いたのは書き終わった後でした。
…つっこまないで!苦笑

えーと、ソルベがシシリアンでリゾットと同郷というのはおわかりの通り完全なる捏造なのですが、「シシリーの男ってストイックで短気らしいですよ☆」という情報を頂いて、ストイックなリゾットはわかる。シシリアンなソルベもえる^v^と思い犯行に及びました。

あ、別にソルベはストイックじゃなくてもいいです。笑

強面(蛇顔で長身で痩せ形で骨張ってて喫煙者で三白眼で29歳のソルベもえr(ry)(もうええわ!)なのにくっつくのがすきなソルベはかわいいなあ!^v^