蛇喰い


キングスネークは「蛇喰い」なんだとよ。まったくお前にお似合いだ。

イルーゾォはソファの向かって右側、メローネは汚れるのも気にしないでカーペットの上というのが定位置になっていた。

「なあ、それこっちに近付けんなよ」

カプチーノで手元を温めているイルーゾォは、それと同じように爬虫類で指先を温めているメローネに冷たく言い放つ。
蛇の種類はキングスネーク。体長90センチほどの美女であり、メローネの最近の一番のお気に入りだった。彼女を指に絡めるのに飽きると、床に落とし好きにのたくらせる。

「だから!ソレから手を放すんじゃねえよ!うわこっち来た!」

存外機敏な動きで、細長い舌をなびかせながらイルーゾォへと近付く。
普段はイルーゾォには見向きもしない彼女だったが、ホットカプチーノのせいらしい、暖かい場所を求めてその足首から膝の上へと辿り着いた。

「ひっ」
「うはは、いーなイルーゾォ。俺のなのになーやけるぜ」
「…っだの体温の問題だろ!俺は蛇は嫌いなんだよ!」
「不幸な奴だなァ」

背筋を伸ばしながら顔を背け、できるだけ膝の上の蛇から遠ざかろうとするイルーゾォは下手に動く事が出来ずにいる。ひきとってくれるよう目で訴えるが、メローネはどこ吹く風だ。
刺激を与えないようにできるだけゆっくりと首を回して辺りに鏡がないか確認するものの、あいにくこのフロアには備え付けられていなかった。

(ちきしょう、これだから男所帯は)

そんな事を思うイルーゾォも今日ばかりはたまたま鏡を持っていなく、膝の上の蛇にただひるむばかり。いつも助けてくれるホルマジオは買い出しに出かけているので、黙って幸運を待つしかなかった。

「やっぱりイタリアーノだな。はっきり顔に出てるぜイルーゾォ」

メローネはなおも笑って、紐状の美女に口付ける。爬虫類を別段可愛いと思うこともなく、むしろ気味が悪いと思うイルーゾォにはまったく信じられない光景だった。

「そんなに蛇が嫌いなのか?」
「好きなほうが信じられねえ」
「…やれやれだ、おいでベアトリーチェ」

尻尾を引っ張り、簡単に引っ込ませて再度腕に巻き付ける。
イルーゾォは蛇の乗っていた膝に何となく触る気がせず、ソファに放られていたクッションで軽くズボンを擦った。

「…おい、知ってるかメローネ。蛇の種類の中には、共食いする奴もいるんだってよ」
「こいつがそうだぜ」
「ああ!?」

なんの感銘も受けなかったかのようにあっさりと告げられ、イルーゾォの方が逆に驚いた。
逆に「良く知ってたな」「キングスネークはちょっとした毒蛇でも喰っちゃうんだぜ」とはしゃぎ出される始末だ。

「いいじゃあねーの。俺のベイビィだって親殺しだし。タフでなければ生き残れないぜ」

聖母のように穏やかな笑みで、うっとりとメローネは再度蛇に口付ける。
発動まではいいとして、発生させるには余計な犠牲を伴う能力を彼は有効に利用する。
むしろ役に立つような優秀な素材に組み換えてやっているのだ、と同種殺しになんのタブーも感じないその笑顔に、イルーゾォは(やっぱりこいつとは生まれた星違うわ)とため息をついた。

うっかりリヴィングに下りてしまった自分を呪った。カプチーノが空になっても、こいつといるだけで一時間は話し相手として捕まるのだ。

「マリアの操作手、お前にそっくりだよ、その蛇」

失礼な感想を率直に告げると、左手を引かれ噛み付かれる。
痛みに眉を寄せると、メローネが大声で笑った。




なにかを減らさないと産み落とせないメローネと壊しも減らしもしない能力のイルーゾォ。
暗殺向きでいいなァア〜〜そーいうのいらないで始末できんのラクだしなぁ〜とか思いつつも、過程を楽しんでいるといい。

<MOUSOU>

自己愛性人格障害の気
自分が男だという事=生命を産み出すのは自分ではない
「ちょっと要素が入っただけで分裂出来るってすげえ」
(生き物を作り上げられるという視点では女のほうがより神に近いのではないか)
→それを操作する事で自分は神になる
→「マリアの操作手」

生物学に長けていて、遺伝子組み換え大好き。
「人を造り上げてみたい」と禁忌に踏み込んだ過去があってもいい。

</MOUSOU>



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